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I want to... Dream as if I'll live forever. Live as if I'll die today.
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ふっと思い出す人がいます。
最近、何人かの友人と会って、
どうして書くのか、誰の為に書くのか、とか、そんな話をしたからだと思うんですが、
今日の午後、また、ふいに鮮明に思い出したので、書き留めておきます。


高校の時の話。
もう、顔も名前もほとんど覚えていないんですが、
ほとんど喋ったこともないクラスメイトの一人が、
確か英語の時間、(たまたま空いていたので)私の隣の席に座りまして。
そこまでなら良かったんですが、ふっと目を向けてみたら、
私の所属している文藝部の部誌を手に持っていました。

その子は、確か、高校生だけど髪も染めて、お化粧もこなしていて、
明るくて社交性抜群で、私とは全然違う世界にいるような子だったので、
(今思い返すとかなり失礼なんですが)こういうタイプの子も本を、
というか文藝部誌を読んだりするのか、と私はかなりびっくりしたんですが、
それだけじゃなく、
たまたま、その号は私の詩が一番最初のページに来ている時でした。

その子が部誌を開いて、当然のように1ページ目から読み始めて、
私の詩を読んでいくのを、
隣の席から、私はもう息も止めて凝視してたんですが。
その子は、私の詩を最後まで、途中でほっぽり出さずに、最後まで読んで、
それから、我に返ったみたいに、後書きの文句を――ちょっと、詩の後書きだからって、後書きの文章も斜めがかった詩のように書いてたんですが――傍に来ていた友達に向かって、指さして、笑いました。
でも、詩の内容については、笑わなかった。何も言わなかった。
無言で、最後まで、読んで、それだけでした。私が凝視してるのも気づかずに、私の隣で。

多分あの子は、もう、私の詩を読んだことも、詩の内容も忘れてしまっただろうと思います。
あの時、文藝部誌を持っていたのも、
たまたま気まぐれで手に取ってみた、くらいのことだったかもしれませんし、多分、そうだと思います。
でも、あの時、あの子は確かに、私の詩を最後まで読んでいた。
ほとんど喋ったこともない、人見知りの私には話しかけることすら恐ろしかった、
そんな子が、私の綴った言葉を読んでいる、少なくとも最後まで、ということは、
なんだか物凄く凄まじい出来事で、私は茫然としたのを覚えています。
それまで、私の作品、というか、文藝部誌を読む人なんて、文藝部つながりの友人か、活字にめちゃくちゃ飢えている人かだろう、と斜に構えていた部分があったので、猶更に。

その後、彼女が部誌の続きを読んでいたのかどうか、
私には分からないし、覚えてもいないのですが、
私が、書くことに(さらに一段深く)取りつかれたのは、この出来事以来じゃないだろうかと、
まあ、それだけのことなんですが、
「友人ではない」、「全く見知らぬ読者」の存在を教えてくれた彼女のことを、
私はずっと忘れないと思います。
どれだけ拙くても、どれだけ無意味に見えても、
届くかもしれない人が、もしかしたら、いるかもしれない。
実際に。


――まあ、これは幸運すぎる思い出で、
からかい好きの男子に、どれが私の作品?なんて部誌を示しながら聞かれまくり、
私が意地でも答えなかった結果、
全作品の冒頭を片っ端から――もちろん私の作品も含めて――教室中に響くような大音量で音読されるという、もう教室から飛び出したいくらいの思い出もあるんですが。
自分だけじゃなく、部員みんなを侮辱されたと思いましたしね、うん。
流石にそろそろ言っても時効だと思うんだけど、あれ、部の誰かに言ったっけなぁ…。
言ったような気もするし、言えなかったような気もする……。


さて。
こんなことを長々と書いてきた訳ですが、
四月からこっち、詩を書くのが精いっぱいで、小説や物語がほとんど書けていません。
怖くて、うん。
(三月に、今まで書いてきた一長編に挫折しまして、それ以来ですね)
(また失敗するんじゃないか、書けないんじゃないかと思うと、書きだすのも怖くて怖くて)

でも、書きたい。んだよなあ。
  
 

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