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I want to... Dream as if I'll live forever. Live as if I'll die today.
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こんばんは、風野です。
人間ってのはどうしてこう、一度にひとつのことしか集中できないんでしょうか。
あたりまえか。知ってた。うん。
最近ヒーヒーしてた予備卒論が、ひとまず、一週間くらい余裕を持てるようになったので、
文フリで出会った本の感想を、少しずつ書いていこうと思います。


さて、最初は、「スイマーズ」による短編集『スイマー』と『星降る昼』。
山川夜高さんと、佐藤芙有さん、美大生のお二人による創作レーベルです。
本当は、昨日11月30日、山川さんのお誕生日中にアップしたかったのですけれども、
微妙に間に合わなかったですね……。orz




『スイマー』
佐藤芙有さんによる「UTSUWA」と、山川さんによる「solarfault」二篇が収められた短編集。
作中の風景や色や光の詳細が徹底的に鮮明に書かれていて、目が回ります。
さすが美大の方だなあ。見ている風景の焦点が全く違う。
「UTSUWA」も、カンタを巡る女性たちより、ミツさんの部屋の風景に引き込まれました。
レースの花とか、みつ豆の器とか。古い文庫本とか。
我儘かなぁと思いながら、最後の「八、梅酒の瓶」は読まずに本を閉じたくなってしまいます。
カラッポのままで良いのに、いられたら良いのにな。

そして、「solarfault」。
恥ずかしながら、Twitterでいつからかフォロワー欄にいてくださっていたあの方が、
今回のお話に繋がっていたと、読むまで全く気付きませんでした。
いえ、その、名前が同じとか、山川さんと重なり合っているとか、そういうのは、なんとなく、
分かっていたんですけれども、まさかTwitterと小説が重なってるなんて思わなかったんですよう。
じつは、一人称小説ってあんまり得意でなく、特に短編だと、読みながらよく迷子になります。
語り手がどういう人か気になってしまうせいかな。
今回は、語り手が、Twitterにいて、文章化されていない、彼の日常?のようなものを、
そうとも知らずに私はタイムラインで眺めていたわけで。
何度か互いを読み返して、イニシャルを補完したり、呟きの背後を眺めたりしながら、
……うん、そのう、まだ、よくわからないです。
薄められたシロップの境目を探すより、淡い甘さを楽しんでしまった方が良いのかな。
最後の一行、視線と一緒に、二人の境目も重なっているのかしら。
夏が恋しくなりました。





『星降る昼』

「これは物語ではない」のスピンオフ作品…ということで、すごく楽しみにしていました。
自分の感覚をうまく言葉に変換することは出来ないんですが、
山川さんの小説は、読んでいると、音楽を聴いているような気持ちになります。
比喩だとか雰囲気だとかそういうのでなく、
純粋に、言葉の音の並べ方や文体が、上手く言えないリズムと流動感で整っていて、
読んでいてとても気持ち良いのです。
朗読を趣味でやっているからかどうなのか分かりませんが、
句読点や読点がだらけていない文章は、それだけで嬉しくなります。

我に返って考えてみれば意味の分からない現象が降り注ぐ中でも、
あんまり不条理や戸惑いを感じないのは、
それぞれにちょっと驚いたり呆れたり見惚れたりしながらも、
割とおだやかに日常生活へ戻っていく登場人物たちの眼差しで風景が書かれているためでしょうか。
尋ねても答えが無い物語が好きです。うん。
あと、ザムザさんがとても好きです。

挟み込まれていたおまけにはついニヤニヤしてしまいました。
でもその、素敵だなぁ、と、しまったなぁ、半分くらいの、ちょっとだけ苦笑いで。
なぜかって、今回の短編集で、私、白紙の紙を思いっきり追放しちゃってるんですよね。
そこに、この真っ白なおまけって。しまったなあ、うわあ。
目に見えない言葉に対する敬意が無い、というか、
言葉は書かれなければいけないと思っている節のあった自分には、
額をデコピンされたような、すてきなおまけでした。





山川さんの「これは物語ではない」は本当におすすめです。
透明人間がすごく好きになります。
あと、ポタージュに、無意識に反応するようになります笑。
拙作の「新月をグラスに注いで」も、少なからず影響を受けていると思います。


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